523.GMは大丈夫か? (2005/07/02)

経済のことは疎いPalmTrotterでありますが、さすがに心配になって参りました。asahi.com「米GM、6月新車販売が41%の急伸 大幅値引きが奏功」などというニュースが掲載されています。


GMと言えば新車販売の低迷が長引いており、会社の存続が危ぶまれていると聞いていたのですが、新車販売が41%増とは一見良いニュースのように聞こえます。


しかし、パームが日本市場で投げ売りし始めたときも、売り上げだけは伸びていましたから、何となく悪い事が起こる前触れではないのかと、勘ぐりたくなってしまいます。


今回の売り上げ増は、在庫減らしのために値引きを大幅に増やした効果だと言いますから、決して業績が立ち直った訳ではありません。既に数十万円の値引きを行っていたのに加えて、5万円から10万円を上乗せたそうですから、一時的な現象と見るべきでしょう。


USでは、トヨタやホンダの車に安定した人気があり、GMやフォードからシェアを奪ってきました。確かに日本製の車に乗った後にUS製の車に乗ると、運転することがイヤになってしまうことがあります。


USに行ってレンタカーを借りるといろいろな車に乗ることが出来ますが、シボレー(GM)キャバリアもよくレンタカーで出くわす車種です。


15年ぐらい前にUSでレンタカーとして借りたときに、何と出来の悪い車だと思ったものです。少し凸凹したカーブでは後ろのタイヤが飛び跳ねているのが分かりますし、外見に較べて中が窮屈でした。内装もかなり安っぽく、同じクラスの日本製、例えばトヨタのカローラに較べてはるかに見劣りがしたものです。


2年前の旅行で再びレンタカーでキャバリアに乗ったのですが、相変わらずの出来の悪さで、一向に改善されている兆しがありません。おそらく日本車に一度でも乗ったことがある人は、この車を購入する事はないでしょう。


革新的な取り組みによって、一時は日本車の品質に迫るとさえ言われたサターン・ブランドも、その経験をGMの他のブランドに十分に活かすことが出来ませんでした。


USに1年住んだ後日本に帰るとき、新車を現金で購入したフォードエスコートを売りに出しました。12,000ドルで買った車を、7,000ドルぐらいで売ろうとして新聞に広告を出していたのですが、なかなか売れません。


一度、奥様のセコンドカーとして買いたいと言う方が見に来られて試乗されたのですが、中古に7,000ドル出すぐらいなら、新車にローンを組んだ方が結局安くなると言われました。当時、フォードは新車販売に強烈なインセンティブを付けていたのです。


1年経った中古より新車の方が安いと言うことは、かなり無理な販売を強いていると言うことになります。優勢である日本車に抵抗するために、一時的に販売をてこ入れするのなら仕方がないでしょう。


しかし、商品価値を高めることもしないでそのようなことを繰り返していては、USの自動車産業の過去の財産を取り崩すだけです。


今のニュースを見ていると、GMの過去の財産が底を突きかけているように見えます。今やGMがどんなに新しい新型車を出すかと言う自動車産業としての興味より、金融市場におけるGM株や債券が今後どのような値を付けるかと言うことに、興味が移ってきていると言われています。


今回、GMの売り上げが飛躍的に伸びた事が、パームの日本市場からの撤退の時と同じように、落ちる前の線香花火でないことを願いたいものです。