42.一服の間 (2003/03/17)

最近、分煙が進んできましたので、愛煙家の方はずいぶんと不自由を感じておられる事と思います。そういえば、私が高校生のころは、朝の満員の通勤電車の中でさえ、タバコを吸っている人が居ましたし、それが許されていたのですから、世の中変わったものです。


学生のころ、タバコを吸っている私の友人は、「タバコを吸うメリットは会話が途切れた時に間(ま)を持たせることができることだ」、と言っていました。私は、ふーん、そんなものかな、と思っていたのですが、そのことを、別の友人と話していた時、彼はこう言ったのです。


間が持つと思っているのは、吸っている本人だけで、待たされている方は、何もできずに退屈しているんだ。考えてみろよ。デートに言って、彼が喫茶店でタバコを吸い始めたら、彼女は煙たい煙の中でただ黙ってひたすら耐えていなければならない。そんなことで、間が持つなんて勘違いしているより、洒落たギャグのひとつでも言って、お互い楽しい時間が過ごせるように努力しなければいけないんだ!


その彼は、その後広告会社に就職して、誰もが知っている有名なコマーシャル・コピーをヒットさせたのです。一服の間を取り持つギャグを、考え続けていた努力の甲斐があったのでしょうか。