457.青色発光ダイオード訴訟の落とし所 (2005/01/13)

日経BPに、青色発光ダイオードに関する訴訟の、和解成立後の記者会見についての記事が、掲載されています。


200億円の支払いを会社側に命じた一審判決とは逆に、発明者側に不利な結果に終わったようです。


「日本の司法制度は腐っている」とは発明者の中村修二氏の弁ですが、司法改革もまだ始まったばかりですから、ひょっとしたら本当に腐っていたのかもしれません。


和解勧告に従わずに、高裁の判決を仰ぐ事はできなかったのでしょうか?そうすれば高裁の判決を受けてから、必要ならば上告する事が出来たかも知れません。


6億円程度の報酬が適当とする和解案が、裁判所から提示されたとされています。一審判決で200億円の支払い金額が言い渡された時に、、「そんな裁判をしていると日本の企業の活力が失われてしまう」経済界から非難されましたから、今回の和解案の金額は経済界の意向を強く受けたものと言えるでしょう。


私たちは、裁判は法の下に全ての人が平等に裁かれると思い込んでいます。建前はそうであっても、実際は理想どおりに行かないのが世の常です。そもそも、法は国民一人一人の幸せを願って制定されたものではなく、国家維持するためにあると言えましょう。


ですから、日本の企業の活力が失われてしまうとまで言われれば、企業が有利な方向に裁判が流されていくことは大いにあり得ることです。


さらに穿った見方をすれば、日本の職務発明に関する特許法の改正をUSが迫っているため、あまりにも突出した報酬を与える判決は、葬り去らなければならなかったのかもしれません。


今回多額の報酬を認めてしまうと、近い将来職務発明についての特許法を改正しようとした時、反発が強くなることが考えられます。


これらも含めて一番争いが少なくなるようにするには、今回の和解が裁判所にとって最良の結果であったに違いありません。


争いを収めるには、落とし所が肝心と言います。そして、落とし所には、必ずしも誰もが納得する根拠があるとは限らないのです。(納得できる根拠を示して欲しいとは思いますが、、、)