402.「神はサイコロを振らない」 (2004/10/26)

日経サイエンス12月号に、「特集 アインシュタイン 奇跡の年から100年 天才を超える挑戦が始まった」と題して、20世紀の天才物理学者アインシュタインの偉業を紹介しています。


アインシュタインと言えば原子爆弾のイメージがあったり、相対性理論のように一般の人には直接関係がないように思いますが、彼の理論に基づいた技術によって実用化されているものも少なくありません。


例えば光電効果を使った光センサーは、カメラの露出調や自動ドアのセンサーなど身の回りに溢れていますし、太陽電池も多くの機器に使われています。またレーザーは、CDやDVDなどの光記録媒体には欠かせない技術です。


さらにナビゲーションシステム人工衛星火星探査機などの宇宙分野では、彼の理論は欠かせないものとなっているそうです。また今後実用化されるものには、新しいコンピューターの設計原理ポータブル原子時計ナビゲーション用ジャイロスコープなどがあげられています。


「神はサイコロを振らない」と言って確率論に頼る量子力学の曖昧さを批判していたそうですが、当初否定されていたこの考えも、今では肯定的に受け取られているそうです。


現在起こっている現象は過去に起こった現象を継承している訳ですが、逆に考えれば未来に起こることによっても影響を受けると考えられ、量子力学が確率論に頼っているのは未来に起こる事が分からないからだと言う主張が、一般的に認められて来ているそうです。


アインシュタインの主な理論は、1905年に書かれた一連の論文によって発表されたため、それから100年になる2005年「世界物理年」と定めたそうです。


原爆が広島に投下された事を知ったアインシュタインは、そうなることが分かっていたら自分は靴職人になるべきだったと言ったそうです。科学と政治は独立したものではなく、科学者は自分の研究成果が政治的にどのような意味があるかを、道徳的に説明する義務があると考えていたと言われています。


世の中のすべての理論や技術は、創造にも破壊にも利用できる二面性を持っています。来年の「世界物理年」には、多くの人たちがもっと科学を身近に感じながら、そのすばらしさと同時にその意味について考え合う事ができれば良いだろうなと思います。