結局武漢には2泊しました。1日目は夜行列車で一緒だった日本人と同室だったのですが、2日目は同じ部屋にヨーロッパから来た2人組の女の子(?)がいました。どうも男性女性を分ける事より、中国人と外国人を分ける事の方が大切なようです。
最終的に上海から日本への船に乗らなければならなかったので、次に目指すのは南京でした。武漢の暑さに参っていた私は、もうこれ以上この街に留まる気はありませんでした。
さて、ここからが大変でした。広い中国ですが、移動の手段は限られており、しかも揚子江と言う大河が流れていますから、東に行くには揚子江下りの船に頼るしかありませんでした。この切符を手に入れるのが一苦労でした。
長い列に並んでやっと順番が来たと思えば向こうに行けと言われ、向こうに並んで順番が来ればあっちへ行けと言われ。そうこうしているうちに何とか切符を手に入れ、船の上の人となったのでした。
その船の上たるや騒然としており、鶏は走るは、子供は甲板でうんこをしているは、船室は暑いは!食事の時間に食堂に行くと、何百人の人が列をなすでもなく渦巻いていました。こんなそんなで武漢から南京までの33時間の船旅は、これまた一生忘れることのできない思い出になったのです。
その船室に、時々ラジオの放送が入るのですが、何か聞きなれたメロディーが流れてきました。「昴」です。
中国語で歌われていますが、まさしく谷村新司さんのあの名曲をうだる様な暑さの船の上で聞いた時、茶色く濁る揚子江の川面が涙でかすむ事を、抑えることはできませんでした。
武漢に新しく交通のインフラを建設すると言うニュースを聞いて、一気に様々な思い出が溢れて参りました。あれから18年、変わり行く中国の姿を見に、また武漢を訪れたくなりました。いや、やっぱり止めておきましょう。