248.ゲノム三題2: 実験生物とミュータント (2003/11/09)

ミュータントと言えば、トータル・リコールを思い出してしまうのですが、突然変異体と言うことらしいです。ミュータントを作るために、発ガン性物質UV(太陽光線)を使うそうです。これらを使うことによって、遺伝子に傷が付くそうです。


ゲノム解析の為には、ゲノムの操作がやりやすく、結果の評価がやりやすい生物が用いられます。また、成長が早く世代の交代サイクルが短い事が重要です。ゲノムの変化がどのように成体に影響を及ぼすかが、短期間で確認できる必要があります。そこで、メダカ線虫が登場するわけです。


小学生の子供を連れていったのですが、メダカは家でも飼っているので、色の違いひれの形の違いがどのようにメダカの生態に影響するかなどは、それなりに興味を持ったようです。また、ゲノム操作によってひれの形が変わったり、背骨がないメダカが出来たりして、それらを顕微鏡で直接見ることが出来るのは、子供にとって良い機会だったと思います。


私も小学生の頃、高校の文化祭で顕微鏡のアメーバを見たことを、今でも覚えています。私の子供も、オリンパスやライツの如何にも高そうな顕微鏡を自由に触って良いと言われる気前の良さに、かなり喜んでいたようです。


さて線虫ですが、数週間で成虫になって卵を産み落として行くそうです。顕微鏡で見るとゼラチンの中を這う線虫の周りには、産み落とされた卵が転がっていました。


線虫は雄雌同体で、卵子と精子が同じ体内に存在していて、どんどん細胞分裂を進めながら徐々に体内から卵が排出されます。雄と雌を掛け合わせることが出来ないので、遺伝によるバリエーションが作りにくいのかと思ったのですが、雄雌同体だけでなく雄はいると言うことです(雌はなぜかいないそうです)。


その雄の精子は、雄雌同体のものに対して優勢であるらしく、力の強い物が繁殖していくようになっている自然界の法則が、ここにも存在しているようです。


わずか1ミリしかない線虫。最初動いているのを見たときは、気持ちの良い物ではありませんでしたが、説明を聞いた後にもう一度見ると、少しかわいく思えてきたのは私だけでしょうか。


ただ主食が大腸菌ですから、お友達にはなれそうもありませんが。