231.停滞する日本を憂う1: 真面目な不真面目 (2003/10/25)

(ある1冊の本から抜粋された情報を含みます。)

ここに1冊の本があります。日本が今、停滞している状況から立ち直らなければならないと訴えています。日が昇る勢いで世界を席捲していた頃の日本は、いったいどこへ行ってしまったのでしょう?この特集では、この本が掘り下げている日本の問題点について紹介し、この現状を打開するにはどのようにして行かなければならないかを、考えてみたいと思います。


日本人は、几帳面で真面目であると言われてきました。確かに、朝から晩まで長い間、同じ事を我慢強くやることには向いているのかもしれません。忙しそうに立ち回っている人も多いでしょう。そのような人を見ると、確かに一見真面目に働いているように見えます。


しかし、真面目に働いているように見えるけれども、実は仕事をしているように見えるだけかもしれません。アメリカ人のようにポケットに手を突っ込んでガムを噛みながら仕事をしていると、何か不真面目で遊んでいる様な感じがしますが、仕事の効率がそれで低いかと言えばそうとは限りません。


実例で見てみましょう。この本に古い話になりますがおもしろい例が紹介されています。


日本が第2次世界大戦に負けてアメリカ軍が日本にやってきた時、横浜の港に着いたタンカーから厚木の飛行場まで燃料を輸送しようとしました。しかし、陸送では時間がかかりすぎて役に立ちません。


アメリカ軍は日本の役人に、「横浜から厚木までパイプラインを引くにはどのぐらい掛かるか?」と聞いたそうです。


横浜から厚木までは40Kmあり、それも山あり谷ありですから測量するだけでも4ヶ月は掛かる。それから仕様を決めて業者を入札で選定し、実際に工事に掛かってもそう簡単な工事ではない。そこで「3年で何とかなるでしょう」と答えたら、アメリカ軍は3年も飛行機が使えないのでは困るから、自分達で何とかすると言ったそうです。


しかし、日本の役人がどう考えても3年以上は掛かる工事を、いったいアメリカ人は何年でやるつもりかと聞いたところ、「フォーデイズ!」と答えたそうです。いくらなんでも4日ではできる訳がない、4ヶ月と聞き間違えたと思って、「4ヶ月とはまた早くできるものですね!」と言ったら、「ノー、オンリーフォーデイズ!」と言ったそうです。


ところが、日本の役人が「何を馬鹿なことを言っているんだ」と笑っているうちに、アメリカ軍は27時間でパイプラインを完成させてしまったそうです。日本人が3年は掛かると見積もった工事を、丸1日と少しでやってしまったのです。


この違いは一体どこから来るのでしょうか?