148.デジタルカメラの画素数は画質を決定づけるか? (2003/07/13)

アサヒカメラ7月号に「高画素神話に喝!-極小画素デジタルカメラの画質を検証-」という記事が掲載されています。デジタルカメラでは、画素数が多い程画質が良いと考えられていますが、本当に画素数が画質を決定づけるのか実写を元に検証しています。


さらに記事の中で、世間に高画素数=高画質と言う概念を植え付けた張本人が、撮像素子メーカーとデジタルカメラメーカーのどちらであるのか、それぞれのメーカーに対してインタービューを行っています。


まず実写の結果ですが、画素一つ一つの大きさが小さくなればなるほど、画素そのものの性能が低下する為、極小画素を使ったカメラでは、画素数の割には画質が良くないと言うことでした。


つまり、画素数と共に画素一つ当たりの大きさが、画質を決める重要な要素であると言うのです。画質を良くしたければ、大きな画素を数多く搭載した撮像素子を採用した、デジタルカメラにすれば良いという事です。


まあ、当たり前と言えば当たり前なのですが、画素あたりのノイズマージンや、ダイナミックレンジなどと言った要因が、小さくなれば厳しくなると言うのが世の常であると言うことでしょう。フィルムの場合でも、35mmカメラで如何に良いレンズとフィルムを使っても、6x64x5のフォーマットには画質では勝てないのと似ています。


次に記事の中では、撮像素子のメーカーへ、次のような質問をしています。


「何故、あなたの会社では、画質が低下する程の極小画素の撮像素子を作っているのですか?」


その答えは、「画質がどうこうと言うより、微細加工技術が進歩するたびに、素子メーカーとして撮像素子製品のラインナップを増やしているだけで、それをどのように使うかは、デジタルカメラメーカーさんの自由です」、だそうです。


次に、デジタルカメラメーカーに、同じような質問をしています。


「何故、あなたの会社では、画質が低下する程の極小画素の撮像素子を使ったカメラを出すのですか?」


そして今度の答えは、「市場のニーズが、安くてしかも画素数が多いものを要求しているので、小さな画素で多くの画素数を持つ素子を採用するのです」、だそうです。


つまり各メーカーは、画素数が多い=画質が良いと勝手に決めつけているのは消費者であり、我々は消費者の要求に従って作っているだけであると言っている訳です。


それならば、早急に画質を端的に表した指標を、デジタルカメラ業界として提案するべきだと思います。画素数も分かりやすい指標であるから使われてきたのでしょうが、少なくとも画素そのものの性能も含めた指標が欲しいものです。


ところで、銀塩フィルムでは、よく使われている35mmフルサイズの場合、だいたい2000万画素あると言われているようですが、この数字とデジタルカメラの画素数を比較することに、意味があるのでしょうか?


現像された後の金属銀粒子の数を画素数と言っているのでしょうが、乳剤中で重なり合っている粒子も多いと思われます。またフィルムの感度を上げるために乳剤厚く塗布すれば、当然画素数は増えますが、乳剤を厚くすることによって画質が低下する傾向があります。


そもそも画像として見えているのは銀粒子を見ているのではなくて、その隙間を通り抜けてきた光を見ている場合もありますから、画素が平面的にきれいに並べられた撮像素子とは状況が違います。単純にフィルムとデジタルカメラの画素数と比較するのは、あまり意味がない様に思われます。


評価基準を決めるのには確かに難しい部分があります。CPUの速度も、クロック周波数だけでは分からないように、画質を評価するのもそう簡単なことではなさそうです。


例えば、画素数より解像力等の画質を直接表現し得る表現の方が、安心してカメラの性能が比較できるような気がするのですが、如何でしょうか?