さて、LSIにおける論理セルの配置問題が、なかなか最適解にたどり着けない事を説明してきましたが、最適解を見つけることが難しいのは、PDAの世界でも同じ事のようです。
PDAの業界全体を一つのLSIに例えると、その構成要素はあたかも論理セルのようです。PDAやソフトウェアのメーカーを始め、ユーザーやフリーウェア作家やユーザーコミュニティーなどが複雑に絡み合って、引っ張り合ったり反発し合ったりしています。
何となくある一定の状態で収まっているかと思えば、今まで2つだったものが1つに合体したりして、そうするとまた別のところで連鎖的に影響し合って、また別の分裂や消滅が起こったりします。
大きなな論理セルには、PalmやWin Mobile、Linux、ザウルスなどがありますが、どうもWin Mobileは、運動エネルギーが他よりも大きいみたいで動きが活発です。しかし、ただ右往左往していると言った感じで、ヒューリスティクに解を見つけようとしているのでしょう。まだ最適解がどこにあるのか分からない様子です。
Palmは最近Handspringと合体したのですが、勢いは以前とあまり変わっていないようです。
どうもこのままでは、PDA全体としての最適解にはたどり着けそうもありません。初期条件が良くなかったのかもしれません。こうなったら、一度大きな力で全体的に運動エネルギーを与えて、根本的に大きな変化を引き起こしてやるのが良いかもしれません。
さてPDAの中でなかなか最適解が見つけられない内に、同じ基板にある別の機能を持つ2つのLSIと統合して、3つのLSIを2つにする事になってしまいました。こうした方がコストを削減でき、性能も向上する可能性があるからです。
これまで、PDAのLSIにあったPalmやWin Mobileは、それぞれ2つのLSIに別々に吸収されていったのです。その2つのLSIとは、パソコンと携帯電話でした。
Win Mobileは、パソコンと同じLSIに吸収されましたが、ほとんどパソコンと似ていた為、その存在意義を失い、その名が消えるまでにそう長い時間はかかりませんでした。一方Palmは携帯電話と同じLSIに吸収され、そこでの存在意義を見つけ最適解を捜し始めました。
さらに時代は進み、次はパソコンと携帯電話が小型化され、ついに一つに統合されてしまいました。その統合された小型の携帯電子機器を、人々は偶然にもPalmと呼びました。過去にそのような名前の小型コンピューターが実際にあったことも知らずにーーー。