例えば腕時計について考えてみると、ピンからキリまでその値段に広がりがあります。ピンは数百万円いや数億円まで、キリは100円ショップで手に入る物まで。機能はと言えば基本的に時を刻むだけですから、100円のクォーツで充分なはずです。
100万円を越えるブランド時計のムーブメントが、実は1000円の部品が使われていたりするそうですから、値段は機能を維持するためのものではない場合もあるようです。
パームも、機能的に今のままで充分であると考えている人は、多いのではないでしょうか?特にPIMとして使いたい人には、基本的な機能を長く使い込んでいきたいと思われるのではないでしょうか?
これまでのような、新機能を売りにしてデザインも斬新さを訴える物ではなく、安心して長く使えるパームを企画してみました。目指すは、時計で言えばグランド・セイコーかザ・シチズン辺り、カメラで言えば、ミノルタTC-1です。
コンセプト
長く使うためには、コロコロと変わる新技術は御法度です。この際、PIMに機能を限定しましょう。耐久性を高め、部品の保証を最低でも20年ぐらいにしたいところです。
想定するユーザーは、エグゼクティブ(ヤングかオールドかは問わない)の方、小物マニア(鞄や財布にこだわりを持つ人)の方、お金持ち(これ基本条件、自薦他薦問わず)の方です。
外装・デザイン
時計でもそうですが、外装の材質は非常に重要です。出来るだけ無垢の物にして、塗装やメッキは避けたいものです。
ステンレスも質の良い物には質感がありますし、アルミも深絞りにすると電磁波の漏洩を防ぐことが出来ます。しかし、耐久性や耐傷性を考え、表面処理をしたチタンを採用しましょう。
チタンは、普通はステンレスより少しくすんだ色になりますが、表面を貴金属によるスパッタリング処理をすることによって、ステンレスのポリッシングと同等の光沢と、より高い表面硬度を得ることが出来ます。
文字の表示には、レーザーによる刻印を使い、消えてしまうことを防ぎます。ボタン類には蛍光塗料を使って、暗いときの操作性を高めます。
無垢の素材は、塗装やメッキにおける劣化がなく、例え傷が付いたとしても長く使うほど風格を醸し出すことが出来ます。
液晶パネルのガラスには、傷が付きにくいサファイアガラスなどを使いたいところですが、製造工程上無理があるかもしれません。反射防止の為の多層膜コーティングは、必須でしょう。
性能・スペック
パームOSのバージョンは、安定した動作が出来れば何でもかまいません。ただしハイレゾ・カラーには、対応していなければならないでしょう。
CPUは、PIM機能に限定すれば、ドラゴンボール66Mhzでも良いですが、アーキテクチュアーとしては、ARM系の方が将来的に安定供給が出来るかもしれません。メモリーは16MBか32MBで充分でしょう。
液晶が、ハイレゾ・カラーは必要ですが、バックライトを含めて耐久性を考慮したいものです。
カードスロットも、あれば良いですが、あまり多くを期待をしてはいけません。
保守・メインテナンス
一番重要なのは、長く使えることです。充電池、液晶パネル、基板一式などは、補充部品として、長期にわたり供給できなければなりません。また、デスクトップなどのソフトウェアも、パソコンのOSごとにサポートされ続けなければなりません。
値段
どうせ飛ぶように売れるわけではありませんから、コストパフォーマンスを考える必要はありません。安いと、ステータス性がなくなりますから、時計やカメラの高級品と同じように、10万円ぐらいからとしておきましょう。
さて誰が作るか?
これが問題です。良いものを長く作る続けることに、意義を見い出す企業でなければなりません。ここは、ライカと組んでデジタルカメラを出しているパナソニックか、時計型のPDAを開発しているシチズン、あるいは高級カメラのノウハウを持つキャノンなどが、技術力やブランド力として申し分ないのですが、一度検討していただけないでしょうかねぇ。
さて、次回は最終回、「ファッション編」です。