回文と言うのをご存知ですか?上から読んでも下から読んでも、同じになる文の事です。「しんぶんし」や「たけやぶやけた」などは、どなたも一度は聞かれたことがあると思います。
インフォシークの国語辞典を引くと、回文歌・回文狂歌・回文俳諧などがあるそうで、昔から言葉遊びとして定着していたようです。
テレビの海苔のコマーシャルで、「上から読んでも山本山、下から読んでも山本山」と言うのがありました。普通回文は仮名ですが、漢字の場合でも同様に考えることが出来ます。
「新・たけやぶやけた」と言うサイトには、漢字の回文を集めたページがあり、「食間禁間食」や「当日無日当」など、そのまま日常で使えそうな面白い作品が並んでいます。
回文のことを英語では、‘palindrome’と呼ぶそうで、探してみるとJim Kalb’s Palindrome Connectionなどに多くの例があります。
"A Toyota! Race fast, safe car. A Toyota"や、"A Santa at NASA"、あるいは"Sex at noon taxes"など、なかなか楽しい作品が集められています。
さて、ここまでは前置きです。
実は小生が中学生の頃、とあるオーディオ関係の雑誌に、「上から読んでも下から読んでも同じ文を、録音して反対に再生したら果たして同じに聞こえるか?」と言う記事がありました。
最近では見かけなくなりましたが、当時はまだオープンリール式のテープレコーダーがありました。もちろん逆再生などと言う機能はありませんが、一時停止のレバーを少し引いてキャプスタン(テープ駆動の為のローラー)を浮かし、手でテープを逆に回すと逆再生ができました。もちろんスムーズに回すのは難しいのですが、何回かやっているうちにだんだんとコツが分かってきます。
試しに「トマト」と録音して反対に再生しますと、「ぅおたもとぅ」のように聞こえます。何回やっても「トマト」とはまったく違った音に聞こえます。また簡単に「か」だけ録音して逆再生すると、「ぁくっ」みたいに聞こえます。
つまり、仮名は音節を表しており、音そのものではないと言う事なのです。そうすると「トマト」は、音で表すと"TOMATO"ですから、反対は"OTAMOT"となり、逆再生の音と近くなります。
「しんぶんし」や「たけやぶやけた」などの逆再生音は、何を言っているのか全く分かりませんでした。ところが、「あか」は"AKA"ですから、逆再生は同じに聞こえるのです。
その雑誌には、反対に再生して同じように聞こえる例として、「赤坂」("AKASAKA")や、"No lemon no melon"が載っており、テープを手で回しながら確かめたものです。
今、先ほどご紹介したサイト、Jim Kalb’s Palindrome Connectionに同じ文を発見して、懐かしく思い出した次第です。