前回の話の続きになりますが、オランダでもアムステルダム以外の地方都市に行けば、私たちが思っているオランダらしい風景が残っているようです。しかし、およそ名前を聞いたことのある国の、その首都の表通りは、大概きれいに保たれているのが普通ですよね。シンボルになるモニュメントなんかがあって、太いメインストリートがまっすぐに伸びている、そんな風景を少なくとも期待していた私たちは、そのあまりの違いに愕然としました。アムステルダム駅と言えば、東京駅のモデルになったと言われていますが、その駅周辺は東京と比べるまでもありません。
新聞が、エイプリルフールに面白いジョークを載せるのも、実は普段の生活が面白くないからかもしれません。似たような話としては、ドイツでのテレビ番組の面白くない理由が、劇場での公演に良いものがあるからであると言われています。あるいは、ロンドンの中華料理がすごくうまいのは、英国料理がまずいからだとかと言われています。
日本の旅行ガイドブックには、ベルギーは食事がうまいと書かれています。私も、オランダの次にベルギーのブリュッセルに行ったとき、そこの料理がとてもおいしかったのを覚えています。友人もベルギーはうまかったと言っていましたので、ベルギー料理はおいしいと信じて疑っていませんでした。
ところが、フランスに長く住んだ事のあるアメリカ人曰く、フランスはおいしいが、ベルギーはいまいちだし、おいしいと言う話は一度も聞いたことが無いというのです。で、はたと気がついたのですが、ベルギーで食べた料理は、全てイタリアンだったのです。友人にも聞いてみたら食べたのはイタリアンだったとか。
つまり、ベルギー料理はうまくないが、ベルギーにあるイタリアンはおいしいと言うことでしょうか。確かに、日本でベルギー料理というと、ビールに合う様なメニューが多く、どちらかと言うと、ドイツ料理に近いかなという感じです。俗に言う地方料理の類でしょうか。
ベルギーのチョコレートは、言うまでも無く有名ですが、その陰に隠れてあまり予備知識の無いベルギー料理を、おいしいと勘違いしたのかもしれません。