60.ベルギー料理の勘違い (2003/04/03)

前回の話の続きになりますが、オランダでもアムステルダム以外の地方都市に行けば、私たちが思っているオランダらしい風景が残っているようです。しかし、およそ名前を聞いたことのある国の、その首都の表通りは、大概きれいに保たれているのが普通ですよね。シンボルになるモニュメントなんかがあって、太いメインストリートがまっすぐに伸びている、そんな風景を少なくとも期待していた私たちは、そのあまりの違いに愕然としました。アムステルダム駅と言えば、東京駅のモデルになったと言われていますが、その駅周辺は東京と比べるまでもありません。


新聞が、エイプリルフールに面白いジョークを載せるのも、実は普段の生活が面白くないからかもしれません。似たような話としては、ドイツでのテレビ番組の面白くない理由が、劇場での公演に良いものがあるからであると言われています。あるいは、ロンドンの中華料理がすごくうまいのは、英国料理がまずいからだとかと言われています。


日本の旅行ガイドブックには、ベルギーは食事がうまいと書かれています。私も、オランダの次にベルギーのブリュッセルに行ったとき、そこの料理がとてもおいしかったのを覚えています。友人もベルギーはうまかったと言っていましたので、ベルギー料理はおいしいと信じて疑っていませんでした。


ところが、フランスに長く住んだ事のあるアメリカ人曰く、フランスはおいしいが、ベルギーはいまいちだし、おいしいと言う話は一度も聞いたことが無いというのです。で、はたと気がついたのですが、ベルギーで食べた料理は、全てイタリアンだったのです。友人にも聞いてみたら食べたのはイタリアンだったとか。


つまり、ベルギー料理はうまくないが、ベルギーにあるイタリアンはおいしいと言うことでしょうか。確かに、日本でベルギー料理というと、ビールに合う様なメニューが多く、どちらかと言うと、ドイツ料理に近いかなという感じです。俗に言う地方料理の類でしょうか。


ベルギーのチョコレートは、言うまでも無く有名ですが、その陰に隠れてあまり予備知識の無いベルギー料理を、おいしいと勘違いしたのかもしれません。

59.エイプリルフールはオランダから (2003/04/01)

高校生のころから、オランダに憧れていました。いつかは行って見たいとずっと思っていました。それは、リーダーズ・ダイジェストのこんな記事に理由がありました。


「オランダの人たちは、エイプリルフールを老若男女を問わず楽しみます。ある日、オランダの堅い論評で有名な新聞の朝刊の一面に、こんなお知らせが掲載されていました。


”今日の朝刊には、新しく開発されたチューリップの香りのする、フレグランス・インキを使っています。どうぞすがすがしいチューリップの香りを、朝食といっしょにお楽しみください。”


それを見た人たちは、新聞に鼻を擦り付けるようにしてクンクンとにおいを嗅ぎますが、新聞からはいつものインキくさい匂いがするだけです。そして、目に入った新聞の日付を見て、今日がエイプリルフールだと気づくと、ニヤリとしてインキで黒くなった鼻を拭きながら、コーヒーをすするのです。」


私は、これを読んでオランダはなんと楽しい国なんだろうと思いました。オランダでは、これに限らず国中でエイプリルフールを楽しむそうです。私は、大人になったら絶対オランダに行ってみようと思いました。


さて、それから何年も経ち、私が初めてヨーロッパに行くことになったのは、新婚旅行の時でした。オランダに行ったことのある友人は、アムステルダムはやめた方が良いと忠告しましたが、私はやっと長年夢描いてきたオランダに行くことができると、イギリスからドーバー海峡を渡りオランダに着き、鉄道でアムステルダムを目指しました。


風車とチュウリップの国、オランダ!その首都アムステルダムの駅の前では、民族衣装を着て木靴を履いた女性が、花やチーズを売っているはずだったのですが(少なくともイメージでは)、、、


舞い上がる紙くずのものとも人間のものともわからない大きな糞至る所に転がり、道行く人たちのうつろな目。間違って路地に少しでも入れば、飾り窓から不気味な微笑みがこちらを伺い、お土産屋らしい店に入ると卑猥な写真がポストカードになって棚に並んでいます。


新婚旅行で行くには少しばかり場末ですが、そのお陰で記憶が薄れることはありません。おまけに、次の日にアンネ・フランクの家を見学したりしたものですから、全く暗い印象のアムステルダムでした。


エイプリルフールが来ると、私は今でもオランダのことを思い出します。行く前と後で一番印象が変わった国でした。皆さんも機会があれば、アムステルダムに行ってみるのも面白いかもしれません(怖い物好きの人限定ですが)。

58.アメリカ人の秘密:USに25セント硬貨がある訳 (2003/03/31)

早速ですが問題です:


(この問題の答えを求めることは重要ではありません。どのような問題であるかさえ見ていただければ十分です。)


次の8つの小数を、大きいものから順に並べ替えなさい。



  • 4.37
  • 1.98
  • 9.53
  • 5.56
  • 7.94
  • 3.97
  • 2.38
  • 6.35

答えは、 9.53, 7.94, 6.35, 5.56, 4.37, 3.97,
2.38, 1.98  です。


では次の問題です:


次の8つの分数を、大きいものから順に並べ替えなさい。



  • 11/64
  • 3/32
  • 3/8
  • 7/32
  • 5/16
  • 5/32
  • 5/64
  • 1/4

答えは、 3/8, 5/16, 1/4, 7/32, 11/64, 5/32,
3/32, 5/64  です。


少数は並べてみると、大きさの順になっていることがよく分かりますが、分数は並べてみても、本当に大きさの順になっているかどうか、よく分かりませんね。


では、分数の大きさの比較は、どのようにされたでしょうか?小学校で習うやり方では、同じ分母に通分して分子の大きさを比べるでしょう。


ところが、私が知るアメリカ人の多くは、これらの分数を通分するそぶりを見せずに、そのままで大きさの比較をしているように思えるのです。


単に、これらの分数が、日常の生活でよく使われているために、いちいち通分しなくとも順番がわかるのかもしれません。しかし、彼らが分数を使って話を始める時、私には彼らが分数が得意であるとしか思えないことが度々ありました。


この分数を良く使うことと、フィートやインチを使っていることは関連がありそうですが、具体的にどのように絡んでいるのかは解りません。


実は、アメリカ人が4分の1ドル硬貨である25セントを無理なく使える訳が、この分数が得意なことにあると思うのです。25セントとして認識しているのではなく、4分の1ドルと捉えているのではないかと想像しています。


ところで、最初の問題に使った数字は、いくつかの電気ドリルのビットの直径を、ミリメートルを小数で、インチを分数で表したものです。ミリメートルを分数で表すのを見たことがないので、やはり分数はフィートやインチに特有なものなのでしょうか?

45.太平洋路線 (2003/03/19)

今日のニュースで、米コンチネンタル航空が、太平洋路線を今までの半分ぐらいに減便する事が報じられました。ユナイテッド航空に引き続き、最大の規模のアメリカン航空も危なくなってきていると言われ始めましたが、ユナイテッド航空に至っては事業の清算も検討されているようです。もはや、マイレージを貯めている場合ではありません。


元々、ユナイテッド航空の太平洋路線は、パンアメリカン航空から引き継がれたものであり、その後景気の高揚と共に、アメリカの航空会社のドル箱路線として拡大の一途をたどり、その他多くの航空会社によって競争が繰り広げられてきました。


私が、仕事で初めて乗ったビジネスクラスが、日本航空の成田ーニューヨーク線だったのですが、そのほとんどがビジネスクラスの座席で、エコノミー席は、一番後部の6列ぐらいしかなかった事を記憶しています。当時40万円以上していたビジネスクラスで、ほとんどの席を埋め尽くしたその便は、さぞかし高利益率であったことでしょう。


これは、特別なコンフィギュレーションだったのでしょうが、その後もANAのワシントンDC線で、エコノミー席が全て日本の中学生の修学旅行で占められていたりしたこともありました。フロリダのディズニー・ワールドが主な目的地であったらしいです。


しかし、不況色が強くなるに従い、その活況を呈した太平洋路線も、変化が訪れます。また、テロの危険性が高まるにつれて、航空機による旅行が、楽しいものから緊張したものへ変わって来ています。


昔から、金属探知機やボディーチェックはありましたが、いつしか、チェックインの時に荷物のパッキングは自分でしたかとか、頼まれ物のプレゼントなどを入れていないかとか、荷物から目を離さなかったかとかの質問をされるようになりました。


2001年の4月に、ボストンから日本に帰ろうとしたとき、搭乗ゲートの手前で、私の機内持ち込みのアッタシュケースの、手にふれる部分を紙で拭き取り、その紙に薬剤を付けて反応を検査していました。そのような事をするのは、初めてだったので、係官に何を検査しているのかを尋ねたところ、硝煙反応が出るかどうかを検査しているのだ」と言われました。


それから5ヶ月後、ボストン・ローガン空港から飛び立った飛行機が、WTCに衝突したのです。


戦争が始まると、またさらに厳しい搭乗検査がされることでしょう。海外に出ると言うことは、それなりのリスクを伴うようになってきました。

29.アメリカ人がPIMを好きな訳 (2003/03/02)

パームの基本はPIMであります。もちろん基本を無視した使い方もありですが、それはそれとして基本はPIMであることに疑問はないでしょう。



パームがUSで開発され、その中心機能としてPIMがある。USで、なぜPIMが必要とされ、みんなが好んで使っているのか?この疑問に私の独断と偏見で答えてみようと思いますが、その前にUSでの職場環境について知っておかなければなりません。



まず第一に、USのオフィスは個人のプライバシー確保のため、隔離されている場合が多い。個室形式になっている場合も多いでしょう。みんな家族の写真やら趣味の絵やら、家から持ってきて飾りまくっています。地図や壁掛け、果てにはエルビスの等身大の人形を持ち込んだ人も知っています。



つまり、同じ課の人が出社しているかどうかも分かりにくいのです。全員の顔を見るためには、いくつもの部屋を渡り歩かなければなりませんし、彼らはすぐに雑談を始めますから全部の部屋を見て回ったときには退社時間かあるいは定年を迎えていることになります(おもしろくない米国式ジョーク)。



第二に、USではフレックスタイムや、長期休暇、幼稚園の送り迎えなど、個人の都合で出社時間がまちまちで、なかなか同じ時間にオフィスに居合わすことが少なくなります。



このような環境がかなり以前からあって、USのオフィスではPCが普及する前から、ホストベースのシステム上で、課全員のスケジュール管理をするソフトウェアを使っていたのです。



個人個人で既に決まっている予定を入れておきます。予定のない時間帯は、他の人が勝手に会議を設定しても良いというルールがあるのです。会議を招集する人は、参加者全員が空いている時間帯を検索し、会議の時間を設定し、会議の案内をメールで送信します。



これら一連の処理を、ほとんどの部分を自動的に行うことができました。これを、全員の予定を電話で訪ねながら空いている時間を決めるのは、大変骨が折れる作業になります。



誰かが勝手に会議のスケジュールを入れたりするので、朝一番にまず今日の予定をプリントアウトして確認してから、仕事に取りかかります。



このようなやり方に慣れてしまうと、個人のスケジュール管理を何らかのシステムで行わなければ、不安になるのかもしれません。意外とラフに見えるアメリカ人も、約束や契約を守る事を大切にしますから、PIMは彼らの生活に欠かせない物になっているのでしょう。