35.なぜデビットカードが普及しないのか? (2003/03/11)

パームを普及させることを考えるときに、他の失敗例に学ぶのも必要かと思い、デビットカードを取り上げてみました。デビットカードが、何も失敗と決まったわけではない、と言う意見も関係者から出てきそうですが、取りあえずあまり普及していないと言うことで、参考にさせていただきたいと思います。


まず使う側、つまり消費者側の立場で考えると、デビットカードとクレジットカードの違いがないと言うことがあげられます。若干の手続きの違いがあっても、結局自分の銀行口座から落とされるわけで、しかもどちらを使っても金額が変わらないわけですから、デビットカードをわざわざ使う必要はありません。


クレジットカードの方が、明細がきちんと発行され、確認してから引き落とされるため、一気に引き落とされるデビットカードより安全なような気がします。


使われる側の立場では、専用の機械を使わなければならなかったり、手続きがクレジットカードと異なったりするため、面倒であることには間違いないですが、クレジットの手数料より安いことがメリットでしょうか。


では、米国ではどうでしょうか?日本のデビットカードと違うところが2つあります。米国ではクレジットカードの支払いには金利が付く、つまり信販系のカードで分割払いにした場合と同じ様な金利がかかるのです。ところが、デビットカードでは金利は付きません。銀行口座に残額がある人は、クレジットカードで買うよりデビットカードで買った方が安く買えるのです。


次に日本と異なる点は、デビットカードにVISAやマスターカードのマークが付いていて、世界中で使えると言うことです。使うために店を選ばなくても良いのです。


つまり、使う側から言えば、金利を払っても後払いにしたい場合はクレジットカードを使い、少しでも安くすぐに口座から引き落とされても良い場合はデビットカードを使えばよいのです。クレジットカードが使えるところでは、全てデビットカードが使えます。


(2003/03/26 にUSにお住まいの方からメールを頂き、USのクレジットカードでも、カード会社の指定する期日までに支払いを完了すれば、金利は発生しないとの指摘を頂きました。ご指摘に感謝すると共に、お詫びいたします。)


もちろん日本の場合も、VISAと一緒になったキャッシュカードがありますが、これは、ただ単にクレジットカードが一緒になっただけで、VISA加盟店でデビットカードとして使えるわけではありません。


日本では、デビットカードが使えるところが限られていたり、金額的にメリットがなかったりするのですから、使う理由がありません。どうも消費者の利益が無視されているようです。


本来、デビットカードによってクレジットカードの手数料が要らなくなるのですから、そのうちいくらかは消費者に還元されるべきです。それによって消費者はデビットカードを使おうとするのですから、例えば消費税の半分を値引きするなどをすれば、デビットカードの利用も飛躍的に増えると思うのですが、いかがなものでしょう?