540.愛・地球博探訪記4: 日本・企業パビリオン (2005/08/20)

しかし、企業パビリオン人気は凄まじいものです。特に人気の日立館トヨタ館の整理券を手に入れるために、朝早くからゲート前に並ぶ人が多いようです。


企業パビリオンが多い北ゲートは、主要交通機関であるリニモが到着するため早くから並ぶことが出来ることもあって、多くの人が開門前から並ぶようですが、朝7時に並んだのでは日立やトヨタの整理券は入手できないそうです。


又、日立やトヨタをもう何回も見たフリークのお目当ては、シャチハタのワークショップらしく、こちらはさらに激戦が繰り広げられています。オリジナルのスタンプを作れるそうですが、毎回30名と定員が少ないため、かなり整理券の取得が困難になっているようです。


愛・地球博では混雑緩和の為に、当日会場で配られる整理券以外にも、パソコンや携帯電話から出来る事前予約や、当日予約機による時間指定の予約が出来るようになっています。しかし、人気の高いパビリオンでは、予約の取得が容易ではなく、予約以外の一般入場の列には、軽く3時間待ちの表示が出てしまいます。


そう言えば、1970年の万博の時も、行列が名物になっていました。当時人気が高かったのは、アメリカ館、ソ連館の外国館と、三菱未来館、ミドリ館、それに日立館でした。概ね2・3時間待ちが続いていたように思います。


待ち時間が長いので定評のある日立館ですが、これは人気が高いだけでなく、収容人数も大きく影響しているでしょう。


マンモス・ラボは今回の万博の目玉であり人気が高いのですが、見学を動く歩道から行うため連続して見学者が流れるため、時間当たりの見学者の数は多いようです。


整理券が配られていますが、入手はさほど困難でなく、待ち時間を短くして、来場者にもれなくマンモスを見てもらうのに役立っています。


トヨタ館では、夏休みに入ってから小学生や高齢者を対象とした整理券を配っており、付き添い者1名と共に入手することが出来ます。配り始めの時間が遅いこともあって、比較的入手しやすくなっています。


結局日立館には入れませんでしたが、その他の企業パビリオンにはほとんど入場できましたし、長久手・瀬戸の両日本館や愛知県館、大地の塔など、ほとんどを制覇することが出来ました。


パビリオンの満足度ランキングは、いろいろなところで発表されていますが、日本・企業パビリオンの私の個人的なランキングは以下の通り。



  1. 三井・東芝館 (自分の顔が映画に登場することも楽しいが、最後にたくさんの人が同じ目的地に向かっていたことに感動!)
  2. 瀬戸・日本館 (大阪万博の日本館に通じ、日本の心を感じさせる。出演者が一体となった秀作!)
  3. トヨタ館 (トヨタらしさは会場への入場案内にあり。「15歩前に進んでください」でピタリと決めるのはさすが。未来コンセプトビークルには乗ってみたい。)
  4. ガスパビリオン (一般的には評価が低いが、エンターテインメントとして見れば楽しい。)
  5. 長久手・愛知県館 (国内系パビリオンで唯一真っ向から環境問題を取り上げている。結論がないのは残念であるが見応えは十分。)
  6. ワンダーサーカス電力館 (何と言ってもお金がかかっている。レベルが高い内容かどうかはともかく、手を抜いていない所が好印象。)
  7. 三菱未来館 (2つのプレショーは中途半端。最後の映像は大阪万博を彷彿させる。鏡で映像を大きく見せる手法は健在。)
  8. 瀬戸・愛知県館 (海上の森について説明。隠れたテーマ館と言えよう。奇をてらったところが全くなくて良い。)
  9. 長久手・日本館 (世界初の360度全天球型映像システムはすばらしいが、映像が鮮明でなく臨場感が低い。ミドリ館の全天全周映画の時の感動はなかった。)
  10. 大地の塔 (万華鏡に対して、どのような興味を持つかで評価が分かれるであろう。ギネス公認の大きさは、単に大きいと言うだけ。万華鏡としての綺麗さは、玩具屋で売っているものと同じかそれ以下。)

さて最後に、長久手・日本館の最後に展示されている水槽について、会場で説明を受けたので書いてみたいと思います。ほとんど人は、鯛と鯉が一緒に泳ぐ水槽に意味が分からないまま通り過ぎて行かれるそうです。


淡水魚海水魚を一緒の水槽で飼う方法はいろいろ研究されているそうですが、ここではマイクロバブルという技術によって実現しているそうです。


通常海水には4%ほどの塩分が含まれますが、この水槽では1%に塩分を押さえ、さらにマイクロバブルを加えることによって、淡水魚と海水魚を同じ水槽で飼うことが可能になっています。


マイクロバブルは微細な気泡のことで、細菌の繁殖を押さえ、生物を元気にする効果があるとされています。この技術は、将来的に農薬抗生物質に頼らない農業や養殖に、応用されることが期待されているそうです。


農薬や抗生物質の過剰使用による地球環境破壊も、忘れてはならないと言うことでしょう。

539.愛・地球博探訪記3: 万博に見るテクノロジーの進化 (2005/08/19)

大阪万博が開催されてから35年が経ちました。愛・地球博におけるテクノロジーは、35年前と較べてどれほど進化しているのでしょうか?


よくニュースにトヨタ館演奏ロボットが登場しますから、ロボットがテクノロジーの象徴のような印象を受けますが、全体的にはロボットを使った展示は多くはありません。


今回のトヨタ館のロボットはトランペットを演奏するとき、胸に内蔵した空気袋(肺)を使って、本当に吹いているそうですから、大阪万博のフジパンロボット館からは、かなり進歩しているようです。


あと目立ってロボットが登場するには三菱未来館ぐらいでしょうか? こちらは最新式ではなく、見た目はフジパンロボット館の時代とさほど変わらないように感じます。


JR東海パビリオンは、リニアモーターカー一色です。超伝導実験や映像、そして実験線を実際に走っていたリニアモーターカーが展示されています。


35年前に日本館で模型が走っていたのを覚えておられる方は、いまだに実験中であることに違和感を覚えるでしょうが、35年前の模型は決してリニアモーターで走っていたわけではありません。会場への交通としてリニモが実用化されていますから、着実に進歩してきたと言えるでしょう。


会場内の交通にはいくつかの方法があります。自転車タクシーはローテクの最たるものですが、なかなか人気があるようです。


ゴンドラやトラムは目新しいものではありませんが、IMTSと呼ばれる自動運転のバスは、新しい交通システムとして注目されています。


大阪万博のモノレールは自動運転が可能でしたが、実際は運転手が乗っていました。IMTSは何とモリゾーのぬいぐるみが運転席に座っています。


自動運転には特別な軌条が必要になりますが、道路の上でもバスとして運転することが出来ますから、密集地では鉄道のように連接して運行し、周辺地ではそのままバスになる事が可能です。


離れていた車体が、連結器もないのにピタッとくっつくように走行するのは見事です。ディズニーランドの「プーサンのハニーハント」のライドを、実用的な都市交通に発展させたものと言えるでしょう。


さて、今回の万博のキーデバイスの一つに、ICカードを利用した入場券があります。事前予約当日予約機は、このICカードがなければ成り立ちません。最新技術を有効に利用している好例と言えるでしょう。


ただ、ITインフラが整備されていて、会場内で必要な情報がすぐに手にはいるかと言えば、決してそう言うわけではありません。パビリオンの混雑状況もエリア内の情報に限られていますし、毎日変わるイベント情報の入手も困難です。


フードコートで警備員が2才ぐらいの子どもを抱えて親を捜し回っていたのも、あまりハイテクとは言えないでしょう。迷子センターや迷子ワッペンが提供されていた大阪万博の方が進んでいたかも知れません。


一方パビリオンや交通機関の混雑状況が、携帯電話で確認できるようになっています。確かに携帯電話は便利なものですが、その便利さだけに頼ってしまうと、他の情報伝達の手段が発達しなくなる恐れがありそうです。


大阪万博のシンボルであった太陽の塔には、3つの顔がありました。未来の顔の目から一直線に放たれた強力なせん光には、未来を明るく照らし出すという意味が込められていました。


愛・地球博のシンボルである大地の塔は、ギネス公認、世界最大の万華鏡です。変幻自在に見える万華鏡が、私たちの混沌とした未来を暗示しているのでしょうか?

538.愛・地球博探訪記2: 外国パビリオンあれこれ (2005/08/17)

愛・地球博では、何と言っても企業パビリオンの人気が高く、インターネットによる事前予約当日予約機、あるいは当日整理券の獲得は、至極困難になっています。


一方の外国館では、ゴンドラ型の乗り物で人気のあるドイツ館を除けば、待ち時間も概ね20分程度までと、比較的無理なく入館できる事もあり、いろいろなパビリオンを訪れることが出来ます。


アメリカ館は、映像による展示でありながら、座席が振動したり画面に合わせて風が吹いたり、あるいは雨が降ったりと、ディズニーランドのアトラクションのような楽しさが味わえます。セグウェイを使って展示の説明をしているのも、未来のクリーンな交通機関としての提案なのかも知れません。


韓国館は、その映像が賞を受けた事もあってなかなかの人気パビリオンです。映画が終わった時、あれほど拍手がわき起こるとは思いませんでした。お馴染みの特殊眼鏡を使った3Dアニメーション画像ですが、メッセージが明確に伝わって来ます。一部にオリジナリティーがないと言った批評があるようですが、短い時間でよくまとめられていると思います。


中国館は、各地の観光案内や最近のテクノロジーの紹介をするディスプレーと、中国楽器の演奏が中心です。他の国々と較べて立派なパビリオンの規模と設備に、中国の勢いを感じました。


ロシア館は、マンモスの模型や宇宙開発の展示が中心です。本物のマンモスは頭部や脚の一部しかないのですが、ここでは模型でありながら全体の形を再現しているため、熱心に見学している人が多いようです。ただ、マンモスが本物と勘違いしている人もいたのではないかと思います。


スイス館では、入り口で音声ガイドになる機械を渡されます。機械が懐中電灯になっており、その明かりを展示物に向けて照らすと、スピーカーから音声による説明が聞こえてきます。この音声ガイドは本物のスイス軍が使っていた懐中電灯を改造したものであり、私が使ったものは1940年製と書かれていました。会場ではこの懐中電灯が売られているのですが、お値段は16,000円。骨董品としての価値がありそうです。


ルーマニア館では民族音楽とダンスを見ることが出来ますし、イギリス館では英国式庭園を眺めた後、イギリス発のテクノロジーの紹介があります。オーストラリア館ではジャンボ・カモノハシが名物になっています。


外国館は、いろいろな国々を短い時間内に訪れることが出来ます。愛・地球博のテーマと一致した展示ばかりではなく、観光案内に徹しているところも多いのですが、案内役は現地の方がほとんどですから会話を楽しんだり、珍しいビールを試すことができて、万博ならではの楽しみ方を堪能することが出来ます。


私が愛・地球博で最初に訪れたのはフランス館でした。四角い部屋の壁全面を使った映像が中心でしたが、その映像の中に印象に残った言葉があります。



地球は親の代からもらったものではない

子の代から借りたものだ



サンテクジュペリ

537.愛・地球博探訪記1: 前書き (2005/08/16)

本当に疲れました。


連日36度を超える炎天下の中、朝から晩まで人混みをかき分けかき分け、愛・地球博に行って参りました。今回の名古屋旅行は万博は1日だけで、あとは名古屋の繁華街を歩いたり、水族館や科学館に行く予定でしたが、結局3日間万博に費やすことになりました。


何を隠しましょう、1970年大阪万博に、私は全くはまっていました。いまだに甦る感動、鮮やかに脳裏に浮かぶ光景。「人類の進歩と調和」を謳った大阪万博は、私の心に長い間刻み込まれてきました。


そして35年経った今、小学5年になる息子が、愛・地球博にはまってしまったのです。血は争えません。


おそらく難解に違いない外国パビリオンの映像に顔を輝かせている子どもの顔を見ていると、35年前の自分を見るような気がしました。万博の魂は永遠に不滅なのでしょうか?


確かに、大阪万博以降、つくばの科学万博や大阪鶴見の花博など、行っては見たもののあまり印象的なものはありませんでした。万博としての規模の違いもあるでしょうが、明快なメッセージが伝わってこなかったような気がします。


今や、あらゆる経済活動、いや人間の日々の営みのすべてが、地球環境問題と密接に関わっています。もっと直接的に言えば、人間の存在そのものが、環境破壊の上に成り立っていると言えます。


確かに、この万博の開催自体が、環境破壊であると問題視されたこともありました。


「愛・地球博」は、地球上の総ての「いのち」の持続可能な共生を図るためのアイディアを出し合い、共有するための場を提供しようとしています。万博のテーマに対する各出展者の姿勢は様々で、どれも決定的な解決方法にはなっていないでしょう。


しかし、半年間の開催期間中、1500万人を越える入場者に対して、何らかのメッセージを伝えることは出来たのではないでしょうか?


かつて森重久弥氏は、「あらゆる文学や芸術、芸能は人々へのアラーム(警告)である」と言いました。一番大切なのは、愛・地球博が成功したかどうかではなくて、アラームを受け取った私たちが、これから将来に向かって「何を考え」、「何を実行するか」なのです。


3日間の短い間でしたが、愛・地球博を訪れて見たこと、感じたことを書かせていただきたいと思います。おそらく独断と偏見に満ち溢れるでしょうが、よろしくお願いします。

536.名古屋ホテル争奪戦 (2005/08/09)

開催前は計画通り入場者が集まるか心配されたこともあった愛知万博ですが、暑さと共に入場者もうなぎのぼりで、人気パビリオンには連日、3時間・4時間待ちの大行列ができているようです。


開幕した頃は、陸橋を歩くためにわざわざ名古屋まで行く必要もなかろうと静観を決め込んでいたのですが、子どもにせがまれると無視するわけにも参りません。


何と言っても1970年の大阪万博の当時、中学をサボってまで万博に掛けていた幼い頃の青春が甦るにつれて、これは何としても行ってこの目で見てみなければと思うようになったのです。


しかし、時はお盆の時期。昔から「盆と正月」と言えば、一年中で一番日本全国が込み合うことになっております。さらに万博景気に沸く名古屋のホテル業界に、分け入る隙はありません。この1週間、大量の予約トランザクションをインターネットに投げ続けておりました。


連泊など取れるはずはなく、1泊、1泊と地道に積み重ねながら、ついに8月10日から3泊の名古屋旅行を遂行するに至ったのです。


いささか大げさではありますが、名古屋のホテルは本当に予約がいっぱいで、万博会期中はどこも満室。にも関わらずどのホテルも便乗値上げをしていないのは立派です。


予約が取れたホテルは次の3つ。1日目が東横インの新幹線口。ツインで8,610円とは十分に安いと言えるでしょう。典型的なビジネスホテルながら、オープンして間もないため清潔度には問題がないでしょう。


おにぎりとみそ汁、それにコーヒーの朝食が無料で付いているあたりがビジネス客を狙った趣向ですが、あわただしい万博観光客にもありがたいサービスです。


2日目がホテルプリシード。東急ホテルに寄り添うように建っているため、探すのに困らないでしょう。栄の繁華街にもほど近く、名古屋名物を食べ歩くのにも便利です。


日経トレンディ「1万円の贅沢ホテルランキング」2位になったと言いますから、快適なホテルに違いありません。ダブルで15,000円は、今回のホテルでは最高値です。


そして最後がロイネットホテル。先ほどのランキングでダントツの1位になったと言うことで、今回の旅行での一押しです。1泊11,600円はお買い得に違いありません。


さて、ホテルは取れたし準備万端。(と言うかホテル取っただけですね。) 明日から愛・地球博目指して出発です。(ところで、どこのインターで降りればいいんだっけ?)